あらすじ

幸（綾瀬はるか）佳乃（長澤まさみ）千佳（夏帆）の三姉妹は父の死をきっかけに腹違いの妹すず（広瀬すず）と鎌倉で一緒に暮らすことになる。音信普通だった母や、不倫関係にある幸の恋人、佳乃のダメ彼、癌に罹った「海猫食堂」のおばさんなどが絡み物語は進んでいく。登場人物それぞれの思いも過不足なく描かれ、奇をてらった演出が一切ないのが心地よい。物語自体とくにこれといったドラマチックな展開はないので、こういう類の映画が苦手な人はダメかもしれないけど、小説で言えば文章力で読ませるような映画である。幸に「一緒に暮らさないない？」と言われたすずが「行きます」と即答するシーンの間の演出は見事である。千佳とすずがカレーライスを食べながらお父さんの話をするシーン、山ですずが「お母さんの馬鹿あ」と叫んだあと、「もっと一緒に暮らしたかった」と泣くーンなど、印象深いシーンも多くある。地味な物語に華やかな女優が四人も出演してるのは小津作品のようだ。ほのぼのとした、とは一言で言えない不思議な魅力を持った映画である。